庭木を切りたい、と思う場合に一番多いパターンがこの「大きくなった庭木を小さくしたい」剪定ではないでしょうか。
そして、剪定を自分でしようとした方に一番多い質問が、「さて、どこを切ったらいいのか分からない」という問題だと思います。
私自身も今ではもう27年近く(2020年)この仕事を続けてきました。
家業の仕事を手伝い始めた時は、教えてもらえる人もあまりいなくて、悩みながら仕事をしていました。
特に自分の場合は、腰椎分離すべり症という慢性腰痛を高校生の頃から持っていたので、痛みを我慢しながら仕事をするという状況。
そのおかげで、
- どうやって正しい剪定ができるのか?
- どうやったら、楽に剪定ができるのか?
- どうやったら、早く剪定ができるのか?
そんな事を自然に考えながら仕事をしていたように思います。
そんな調子で最初の頃は作業がはかどらず、同業者からも「仕事が遅い」と言われていました。
でも、20年以上続けていると、知らないうちに随分早くなっていたようです。
沢山の庭木を切る事ができるようになった。
しかも、早く切れるようになった。
忙しい時は同業者に応援を頼むのですが、
「片桐君の所の仕事はキツイからちょっと・・・」と言われた時にビックリしたものです。
いつの間にか手際が良くなっていて、仕事の量が増えていたようです。
しかも、「お庭がいい感じになったね」と褒められる事も増えていきました。
これも、楽に早く庭木を切るコツを試し続けたおかげだといえます。
ここでは、そのコツの中でも簡単で分かりやすい部分をご紹介します。
庭木を切る時に、活用いただければ嬉しいです。
コツその1・・・間引き剪定
大きく成長した庭木を小さくしたい場合、
その木の大きさが2mであろうと、3mであろうと、4mであろうと、
変わりない普遍的な方法があります。
- それは、「間引き剪定」です。
庭木の表面を見ているとサッパリ分かりませんが、
幹の中からのぞき込んでみると、枝の太さがかなり違う事が分かります。
超単純に間引きのイメージをお伝えします。
片方の手のひらを広げて、5本の指を国水平方法から斜め45℃ぐらいに上げていきます。
その5本の指のうち、人差し指と薬指の2本を付け根から切り取るイメージです。
すると、3本残りますね。
枝の出が少ない場合は、逆にその2本だけが残る形になってしまう場合もあります。
極端なイメージでいえば、枝を2本残すか、3本残すのか程度に間引きをします。
全体的にこうする事で、込み合った枝が間引かれて、
風通しが良くなるはずです。
コツその2・・・徒長枝を切る事で作業が一気に半分終わる
庭木の全体を少し下がって眺めてみます。
葉が茂っていて、外側から幹が見えないとしても、
幹の太さがこうだろう?とイメージしながら見ます。
そうすると、背の高さの半分から上にかけて、
他の枝の中でも一番か2番ぐらいに太くなっている枝がみつかります。
幹から伸びている枝の事が多いですね。
その枝は、「徒長枝」といいます。
他の枝よりも成長が早く、この庭木の中でも「成長力の強い枝」と言う事が分かります。
この枝を他っておくと、樹形がどんどん歪んでいきます。
又上に伸びてしまいます。
この枝を、1本~3本程度、幹から切り落とします。
この徒長枝の場合は、太い事が多いので、「剪定ノコギリ」を使う事が多いですね。
コツその3・・・細い枝だけ整える
先ほど紹か介したコツの1,2は、順番は入れ替わる事もあります。
成長が強すぎると徒長枝が全く分からなくて、上部に近づけない事もあるからです。
その1,2を終えると、剪定の大きな作業は終わります。
この後は、樹形を整える剪定となります。
この場合は、「剪定ハサミ」で、幹の付け根からではなく、長い枝を途中で止めます。
樹形を整える目的ですので、庭木を遠くから離れて見て、
全体のイメージを確認しながら、近づいて剪定をします。
この場合は、「剪定ハサミ」だったり、庭木が大きい場合は、「刈込ハサミ」だったりします。
木の種類でいえば、常緑樹は枝が細かい事が多いので、「刈込ハサミ」。
落葉樹は、枝がまばらに伸びているので、「剪定ハサミ」で個別に切る事が多いですね。
これで大まかな作業は完了です。
コツその4・・・その剪定に必要な道具を見分ける
先ほど紹介した切り方で使う道具は3種類です。
- 剪定ハサミ
- 剪定ノコギリ
- 刈込ハサミ
この3種類の剪定道具があれば、おおよその庭木は切れると思います。
松などの特殊な木はちょっと別になりますが、考え方としては同じ考え方で剪定しますね。
剪定作業に限って言えば、細かい枝を切る時に使う「植木ハサミ」は剪定ではほとんど使いません。
イメージ的には、「植木ハサミ」は日常的に細かい枝を切り分ける時に使うイメージ。
小まめに伸びた芽をバランスよく切り取るなんて時には刃が細いので使いやすいです。
今回のような太い枝や幹を付け根から切る場合には、ちょっと使えません。
又、「高枝切りハサミ」のような高い場所の剪定で使うような道具も、
楽に早く庭木を小さくしたい場合には、ほとんど使いません。
幹を付け根から切り取るのは細かい作業になります。
実際に幹に近づき、目の前で作業する感じです。
遠く離れた場所から、幹を付け根で切るというのは至難の業です。
サッサとハシゴを使って、目の前で作業した方が早いです。
しかも、「高枝切りハサミ」の刃は「剪定ハサミ」より大きくなっているので、
幹の付け根で切ろうとしても、どうしても少し離れた場所で切る事になってしまいます。
使っていけないという意味ではありませんが、
早く簡単に切ろうと思った時には、使い勝手がよくないのです。
私も、仕事で庭木を切る時には、「高枝切りハサミ」はほとんど使いません。
どうしても「ハシゴ」を買いたくない人や、
「ハシゴ」が立てられない場所の木を切りたいという場合にはいいかもしれませんね。
コツその5・・・掃除を簡単にするコツ
さぁ、剪定も最後になってきました。
後は掃除です。
この掃除が私たちの経験上、剪定にかかった時間の半分ぐらいかかる事が多いです。
剪定の方が大変そうなのですが、意外に掃除を綺麗にしようと思うとこれだけ時間がかかってしまうのです。
しかも、見た目には掃除が綺麗にしてあるかどうか?
が実は大きな影響があったりします。
剪定が上手かどうかは、一般の方には分かりずらいのですが、
落ち葉が一枚も落ちてないかどうか?というのは、一瞬で分かります。
掃除を簡単にするコツは、
- 「ブルーシート」を敷くこと
そのまま包んでしまえば、一瞬で片付きます。
又、シートを寄せていく事で、ゴミも集める事ができます。
意外にアスファルトの上など、デコボコに葉が引っ掛って、ホウキではいても上手く集まりません。
雨で地面が濡れてしまった場合はなおさらです。
くっついてしまって、非常に歯がゆい思いをします。
剪定する庭木の下に、ちょうど葉が落ちる部分に合わせてブルーシートを敷きます。
2~3枚になる事もあるでしょう。
私たちは、大きなサイズのブルーシートを5~6枚。
小さなサイズのブルーシートを7~8枚用意して、地面に敷き詰めて作業をします。
大きな枝だけ取った後は、ブルーシートをそのまま運んで、剪定枝葉を一枚にまとめて包んで持ち帰ります。
一般的にはここまでで十分ですね。
私たちプロは、この後、ブロアーという枝葉を吹き飛ばす道具を使って、
さらに完璧に綺麗に仕上げていきます。
お客様から代金をいただく事を考えると、作業現場を綺麗にして完了するのは当たり前だと思います。
これは、父が生前、仕事中によく言っていた事なのです。
以外に、お客様からのご依頼を受ける時に、
今まで作業を頼んでいた方が、掃除をしない事がある。
というパターンも多くてビックリします。
確かに、掃除は仕事としては単純で面白くない作業です。
綺麗にしようと思うと、時間もかかってしまいます。
私も、最初の頃は剪定だけで時間がかかってしまい、
真っ暗になってから、掃除をするという事が多々ありました。
その為、投光器を車にいつも積んでおいて、地面を照らしながら掃除をしたものです。
最近はそこまで遅くなることも無くなりました。
今となっては良い思い出ですね。(苦笑)
コツ・・・番外編
先ほどは、具体的な作業の手順について順番にお伝えしました。
ここでは、番外編として綺麗に庭木を剪定する時の大切なコツをお伝えします。
- 庭を一枚の絵としてフレームを作り、眺める
- 仕上がりのイメージを最初に作る
- 集中するといつの間にか時間が経っているので、作業時間を決めておく
最初に、庭全体を眺めてみて、一枚の絵のようにフレームをイメージしてみます。
その中で、庭木をどの程度の高さにしようか?と考えます。
いざ、剪定を始めてしまうと集中してしまい、この全体から眺める作業がおろそかになってしまいます。
一生懸命作業をして終わった時に、庭木がバラバラでまとまりがない・・・。
よくある現象です。(苦笑)
せっかく作業をしても、自分も納得できません。
仕事でいえば、お客様からの反応が今一つ・・・。(悲)
終わった後に庭を眺めてみた時のイメージを最初に作っておきましょう。
その通りになる事は少ないかもしれませんが、必ずいい感じになってきます。
続けていると、段々要領が良くなり、更にいい感じになってきます。
自分も楽しいですよ。(笑)
又、時間を決めておくというのも大切な事です。
あっという間に時間が経ってしまい、仕上がりの途中で終わってしまうととても残念です。
このコツは、普通の仕事をする時にも使えるテクニックです。
最初に出来上がりのイメージを作ってから、作業に取り掛かる。
作業そのものがどんどん勝手に進化していきます。
時間を決めて作業を終えるようにします。
最初におおよそ4時間かかるかな?と思った場合には、
3時間で作業を終えよう!と決めます。
すると、1本あたり、30分かな?
45分かな?と検討が立てられます。
その時間で作業が終えられるように進めていきます。
これも繰り返していくと、最初は上手くいかなくても、だんだんコツが掴めてきます。
時間を短めに設定する事で、最後に確認の時間を持てたり、
掃除に時間をとれて、綺麗に仕上げて気持ちよく完了する事ができます。
これまでお伝えしてきたきた事は、私が20年以上もやってきた事なので、すぐには真似できない事もあるかと思います。
どれか一つだけでも試してみて、実際に使えそうなら何度か練習してみてください。
庭木の剪定作業がつまらないものから、ちょっと楽しくなったら嬉しいです。