庭木を切る時に、どんな道具を使いますか?


こんにちは、岐阜の植木屋の片桐です。
突然ですが人生にはいろんな出来事がありますね。
 
 
例えば、自宅の庭木がだんだん成長してきて、
奥様に「いい加減に邪魔になるから木を切ってよ!」とせかされて、
折角の日曜日なのに渋々庭木を切らされる、、、
なんて最悪な事もあったりします。(苦笑)
 
 

大きく育ち過ぎたモチノキ
気がつけば、見上げるほど繁っていた…どうしましょう?(苦笑)


そこで、さて?どんなハサミで切ればよかったのかな?
家にあるハサミで切ろうとしても上手くいきません。
 
 
そこで、渋々ホームセンターにハサミを買いに行きます。
すると、植木ハサミ・剪定ハサミ・刈込みハサミ・太枝切りハサミ、高枝切りハサミ、、、、種類もいろいろあって、値段も1000円から6000円ぐらいまでかなり幅があります。
 
 
「どのハサミを買えばいいんだ?」
あなたはサッパリ分かりません。
  
 
とりあえず、刃の部分が大きな「刈込みハサミ」を買えば、他のハサミの代用になるんじゃないか?
と思う人がいても不思議ではありません。
 
 
値段の安い「刈込みハサミ」を探すと1980円ぐらい。
まずはこれを買って、木を切ってみよう、と家に帰る…。
 
 
そして、「刈込みハサミ」で庭木を切ろうとしました。
手前の細い枝は切れるが、少し奥の太い枝が固くて切れなくてイライラ・・・。
何でもっとよく切れないんだ??
何の予備知識も無い場合、ありえる話です。

刈り込みハサミの大
刈り込みハサミの小
ゴム手袋
(左からゴム手袋、刈込みハサミの小、刈込みハサミの大)

 
 
 

本当はどんなハサミを買えばいいのか…、
簡単に分かったら嬉しくありませんか? 
  
 
ここでは、

  • 庭木を切る時にどんな種類のハサミがあるのか?
  • どういう場合にそのハサミを使うと、簡単で良く切れるのか?

という視点でご紹介していきたいと思います。
よろしければご活用ください。
 

刈り込みハサミ 大工用ノコギリ
(お客様が実際に使っていた剪定道具? 小さな刈込みハサミと、大工用ノコギリ。これで剪定するのは難しいですね…)


どうせ買うなら、よく切れるハサミが欲しいですよね~。
よく切れるハサミというなら、やはり値段が高い方がいいのでしょうか?
時々使うだけなのに、5000円近くも出すのは勿体ないし。
 
 
「安くてよく切れるハサミが欲しい!」
でも、どうやって選べばいいのか、分かりませんよね。
私も仕事を始めた当初、ハサミ売り場の前で同じような憤りを感じました。(笑)

20年以上、剪定の仕事を続けてきて、
実は、どんなハサミを買えばいいのか?という問題は、
「どの木を、どのように切りたいのか?」
が重要なんだ、と分かってきました。
 

大事な事なのでもう一度書きます。

  • 「どの木を、どのように切りたいのか?」


これが決まっていないと、よく切れるハサミにたどり着くのは難しいと思います。


 
 
その道具では合わない「庭木と切り方」なのに、頑張って作業をすると、正直疲れますし、大変です。
「庭木と切り方」に合った道具を使えば、作業がぐっと楽になります。
思い通りに木が切れるようになると、庭木が喜んでくれるようで楽しくなったりします。
 
 
どうせ庭木を切るなら、簡単に楽しく切れるといいですよね。
これからの話は、かなり役に立てると思いますよ。

●背の高さぐらいの庭木を小さくしたい場合・・・剪定ハサミ

剪定前 ツバキが茂っている

 
 
庭木を切る必要がある場合、ほとんどこの場合が多いのではないでしょうか。
この写真でいえば、目線ほどの高さのツバキがこんもりと茂って、大きくなりすぎて圧迫感がありました。
恐らく初めての人なら「刈込みハサミ」を使って、外側の葉を切って小さくしようと考えるかと思います。
 
 
でも、刈込みハサミを使うだけでは、小さくならず、逆に年々大きくなってしまう事があるんです。
(このパターンがとても多いです!) 
 

刈込鋏でサツキを刈り込む
(刈込みハサミで外側から切っていく様子、これでは小さくならない…)

 
剪定作業に慣れた人だと、小さくする為には「枝を間引く」必要があると知っています。
幹の近くに行き、下から枝をのぞき込んで伸び具合を確認します。
  
 
そして、太い枝の付け根を幹に沿って切り落とします。
 
 

そんな時に欲しいのが、この岡恒の剪定ハサミ。
剪定ハサミの鉄板。(・・・近所の同業者仲間調べ)
不満の少ない、バランスの良い剪定ハサミだと思います。
値段は3000円前後とお値打ちです。
 

●初心者にお薦めの剪定ハサミ
岡恒 剪定鋏 180mm NO.101

岡恒 剪定ハサミ 180mm
(出典:Amazon)

例えば、このように間引きたい枝を幹の付け根付近で切り落とします。
先ほどの枝葉の外側から切る様子とは全く違いますよね。
剪定ハサミを枝の中に差し込んで使います。
 
これを刃の大きな「刈込みハサミ」でやろうと思うと、とても難しいです。
最初に「ハサミを買い間違える」と、
「庭木を簡単に小さくできない」という意味が少し分かっていただけましたでしょうか?

果樹 剪定ハサミで枝を間引く
(剪定ハサミで枝を間引く様子:出典Amazon)

 
何故、太い枝を切るのか?というと、
簡単な理屈で、「太い枝」は他の枝に比べて成長が早いからです。
 
その太い枝を間引く事で、1回の剪定で大きな塊を一気に切り取る事ができるのです。
剪定といえば、「葉を切る」事だと思い勝ちですが、私たちでいえば「枝を間引く」方が重要です。
庭木の剪定のコツですね。
 

ツバキ 太い枝を間引く前
(手前に太い枝が見えてます。こういった太い枝を幹の付け根から間引きます)


枝の塊の中から、太い枝を見つけて、付け根から切る。
その後、次に太い枝を見つけて、付け根から切る。
単純にいえばこれを繰り返す感じです。
 
 
そして、枝を間引いた後の仕上げに、表面を整えます。
(ここからが、刈込みハサミを使う場面なんです)
 
剪定の事をただ切るだけという勘違いは割と多いのなか?と思っています。
 
 
バランスよく枝を間引く事で、早くて簡単に樹形を一回り小さくできます。
風通しもよくなり、
「お庭がスッキリして明るくなったね!」と喜ばれます。
 
 

ツバキ 太い枝を間引いた後
(太い枝が無くなった状態・・・分かりますか?順番に太い枝から間引いていく事で、自然にバランスが取れます)


枝を幹の付け根から切る場合に使う道具は、「剪定ハサミ」と「剪定ノコギリ」です。
 
枝が2cmまでなら剪定ハサミで切ります。
太い枝や剪定ハサミで切り難い位置など、剪定ノコギリも使いますね。
 
 
ちなみに、今回の例えのツバキは、
剪定ノコギリを使わずに剪定ハサミだけで間引く事ができました。
 

ツバキ 剪定後
(手前の枝の塊が間引きをしてさっぱりしました)

 
私の場合は、1cmまでなら剪定ハサミをよく使います。
枝の直径が1cm以上ある場合は、本数が多いとノコギリの方が楽ですね。
 
 
剪定ハサミの説明書には、直径2cmまで切れるとよく書いてあります。
確かに切れますが、太い枝ばかり切っていると手が痛くなることが多いので、私の場合はノコギリも用意していますね。
この剪定ノコギリは定価で3560円(税別)。

 

●初心者にお薦め 剪定ノコギリ
シルキー ゴムボーイ 万能目 210mm 121-21

剪定ノコギリ ゴムボーイ
(出典:AMAZON)

初心者にお薦めの使いやすい「剪定ノコギリ」です。
折りたためるので、ポケットに入れておけます。
コンパクトなので邪魔ににならないのと、
刃を折りたたむ事で安心して持ち歩けます。
 
 

●まとめ


庭木を小さくしたい場合は、「太い枝を間引く剪定」がメインになります。
その場合は、「剪定ハサミ」で枝を幹の付け根から切り落とす。
枝が2cm以上と太い場合等は「剪定ノコギリ」を使用する。
と、覚えておいてください。
 
 
 

●庭木の表面を整えたい場合、枝が細い場合・・・植木ハサミ

こういう場合は、葉の細かい種類の庭木。
例えば、サツキなどの刈り込み物が多いですね。
 

●植木ハサミ
岡恒 植木鋏 NO.201-SN

剪定では使いずらい 植木ハサミ
(出典:AMAZON)

このような場合は、「植木ハサミ」を使います。
面積の広い場合は、「刈込みハサミ」が便利です。
  
 
私たちは、沢山の作業をするので、
少しでも楽な方を選びます。
 
 

太い枝は「剪定ハサミ」で切り、
整える時や少し高い場所にある枝を切る時に、「刈込みハサミ」を使います。 
実のところ、「植木ハサミ」は剪定ではほとんど使いません。 
 
 
剪定の仕事が少なかった初期の頃は「植木ハサミ」を使っていましたが、太い枝はなかなか切れなくて苦労しました。
「剪定ハサミ」だと、植木ハサミに比べて刃が短いので植木ハサミの方が便利に見えます。
が、一度剪定ハサミを使いだしたら、逆に植木ハサミの出番がどんどん減りました。
 
 
しかも、慣れてくると剪定ハサミでも細かな葉っぱも切れるので、益々植木ハサミは使わなくなってしまいました。
 
 
ちなみに、広い面積の枝葉の先を刈り込む時は、後でご紹介する「刈込みハサミ」を使います。
ですから、逆に「植木ハサミ」を使う場面は、、、私の場合は剪定ではほとんど使わず、観葉植物の手入れをする時ぐらいでしょうか。
 
 
庭木の剪定をしようと思った時、つい間違えてこの「植木ハサミ」を買ってしまいやすいので、庭木を小さくしたい場合は、買わないようにご注意くださいね。
 

●直径2cm以上の枝を切る場合、、、剪定ノコギリ

 
「剪定ハサミ」で切るのが大変な2cm以上の太い枝は、「剪定ノコギリ」を使います。
2cmぐらいならギリギリ切れなくもないですが、
力もいりますし、要領が必要です。
 
 
他には、落葉樹で地際から新芽が沢山生えている場合、、、ひこばえ、といいます。
こういうまとまった枝を切る時も、剪定ハサミでは使いにくいので、
剪定ノコギリで地際から切ったりします。
  

●初心者にお薦め 剪定ノコギリ
シルキー ゴムボーイ 万能目 210mm 121-21

剪定用ノコギリ ゴムボーイ
(出典:AMAZON)


 
先ほど、太い枝を切る時に剪定ハサミとノコギリを同時に用意すると書きました。
結論から言えば、この2つがあればほとんど庭木の剪定ができます。
 
 
コツがわかれば意外と簡単ですよね。

 
初心者の方が木を切る時に失敗するパターンで多いのは、
切りやすい細い枝を先に切ってしまい、
太い枝だけ残って、これ以上切ると葉っぱが無くなってしまうので、仕方なく残した。

 
 
その太い枝は、成長が早いので、翌年、更に大きく成長し、モサモサしてしまう…。
初心者さん、あるある現象です。(笑)
 
 
太い枝を間引かないと、結局又すぐに成長して伸びて邪魔になってきます。
どこを切ったらいいのか、分からない、、、という気持ちも分かります。
正直、私たちも考えながら切っています。
簡単に分かるものではないのかもしれません。
 
 
難しいのは当たり前で、間違ってもいいから太い枝を探して切ってみる。
その位の心構えで大丈夫です。
最初から使えなくてもいいので、剪定ノコギリは1本持っておくといいですよ。
  
  
剪定用のノコギリは、ホームセンター等へ行くと、
「生木を切るノコギリ」というタイプになります。
余談になりますが、普通の大工道具の「ノコギリ」と何が違うのでしょうか??
 
 

剪定では使えない大工用ノコギリ
(大工道具のノコギリ)


実際に使ってみれば全く違うものだ、というのがよく分かります。
詳しい事は、ハサミと合わせて別途ページを作りますので又ご参考ください。
⇒ 製作中!「キッチンハサミ と 大工用ノコギリ 剪定できるのか?」
  
 
結論からいえば、大工道具のノコギリは生木が切りずらいです。
時間がかかります。
切り口が汚く、ギザギザになり、その枝が枯れてしまう心配があります。
 
 
私たちプロが大工用ノコギリで生木の枝を切ろうとしても、難しいです。
大工用のノコギリは、目が細かいので、生木では直ぐに詰まって切りづらくなります。
生木用の剪定ノコギリは目が粗いので、目詰まりが少なく、早く切れます。
切る材料の違いによって、一長一短あるという事ですね。
 

●目線より上の庭木を切りたい場合、面積の広い垣根など・・・刈込みハサミ

通常は剪定ハサミがあれば剪定はできますが、あると便利という剪定道具があります。
「刈込みハサミ」です。
  
広い面積を刈り込む場合や、トピアリー・玉ツゲなどの形を整える作業に便利です。
基本的には庭木の表面を切って整える、という使い方が合っています。
 

●刈込みハサミ
アルスコーポレーション 軽量刈込鋏K-800レッド K-800-R


アルスコーポレーションさんは、剪定ハサミの老舗。
実は、私も観葉植物で使う「植木ハサミ」はアルスコーポレーションさんを10年以上使っています。
内緒ですが、、、ほとんど研がずに使ってます(苦笑)
 
 
この刈込みハサミのお勧めポイントは、

  • 刃がよく切れる
  • 軽くて軽量で女性でも扱いやすい
  • 柄が細くて持ちやすい
  • 刃が取り換え可能でお値打ちに使える

といった所でしょうか。
 
 
「刈込みハサミ」は1000円前後のお値打ちな物もありますが、
刃がやはりそれなり。
何回か使うだけで切れ味が落ちてくる。
いちいち刃を研いだりしないと切れないようでは、面倒です。
 
初心者の方はそれこそ剪定だけでも大変なので、それ以外の事は手を抜く事を考え、こちらの4,500円ほどの刈込みハサミをお勧めします。
  
  
ご覧の通りに、手で持つ柄の部分が「植木ハサミ」に比べて長くなっています。
ハサミの刃も「植木ハサミ」に比べて随分長くなっていますね。
一度に切れる量が多くなります。
 
 
ここで一言。
勘違いされる人もいるのですが、
「刈込みハサミ」とは、「太い枝を切る」ハサミではありません。
植木ハサミの延長として考えた方が良いです。
 
 
両手で柄を持つことで力が入れれます。
勢いよく太い枝を切ろうと思えば、力づくで切る事も可能です。
が、刃が欠けてしまったり、最悪、柄の部分が折れたりします。
これも、安い刈込みハサミを買うと、よくあるある現象です。
 

刈込鋏で垣根を切る
(出典:Amazon 垣根を刈り込んでいる様子です)


「植木ハサミ」と比べると、「刈込みハサミ」は細かい作業には向きませんが、広い面積を切る場合にとても便利です。
又、玉作りといって刈り込みを丸く仕上げる場合にもこの刈り込みハサミを使います。
 
 
最近は、「刈込みハサミ」もバリエーションが増えて何種類も用意されています。
又、時間ができたら別途刈込みハサミ専用でページを作りたいと思います。
 
 
刈込みハサミは、柄の長いタイプと短いタイプがあります。
高い場所の枝をハシゴを使わずに切る場合は、長い柄の方が便利です。
 
 
目の前にある枝葉を切る時は、柄の短い方が作業が楽になります。
 
 
私は仕事で使うので、両方持っています。
どちらかといえば、作業が楽なので、柄の短い方を使う事が多いですね。
背の高い所は、ハシゴを立てて作業してしまいます。 
 
 
アルスコーポレーションさんの刈込みハサミも、
柄が短くなっていますので、使い勝手がいいですね。
 
 
アルスコーポレーションさんのハサミで物足りない場合は、
岡恒さんの刈込みハサミをお勧めします。
刃がしっかりしているので、やはり安定感は別格ですね。
お値段も別格です。(笑)
6000円~7000円ほどみておいてください。

 
●上級者向けの刈込みハサミ
岡恒 刈込鋏 65型 ショートハンドル No.231

岡常 刈込鋏65型 柄が短い
(出典:Amazon)

●道具があるのは知っているが、あまり使わない剪定道具・・・高枝切りハサミ

高枝切りハサミは、高い所の枝を切る時に便利!とテレビショッピングで昔見た覚えがあります。
実際に買ってみたのですが、正直、使いずらくで殆ど使いません。
 
 
まず、斜めに持つと重いです。
真っすぐもって真上の枝を切る場合は楽ですが、剪定の意味からすると「バツ」です。
大きくならないように剪定したいのに、上向きの枝を残した剪定は全く意味がありません。
 
 
そして、値段の安い高枝切りハサミはハサミ事体がそれなりなので、あまり切れません。
少し太い枝になると、何度も抉るようにして何とか折れるという感じ。
 
 
私たちはハシゴを持っているので、ハシゴを立てて、ノコギリで枝を切ります。
その方が早くて簡単です。
作業も楽です。
仕上がりも綺麗です。
 
 
同じ理由で、「高枝切り用のバリカン」という道具も見た事があります。
一度使わせてもらった事があります。
正直、使いずらいです。
上手く切れないので、時間がかかります。
刃も普通のバリカンに比べて、安いタイプがついているので、比べると切れ味が劣ります。

 
 
私たちの仕事ではあまり必要を感じませんでした。
確か15000円程度と、いいお値段がします。
本当に必要かどうかは、よく考えた方が良いと思います。 
 

●まとめ

基本的には、「剪定ハサミ」と「剪定ノコギリ」があると大抵の庭木は切れます。
広い面積の垣根が入ると、「刈込みハサミ」があるといいですね。
 
 
大まかにどんな道具が要るのか?をイメージしておけば、道具売り場の前であれこれ迷う事も少なくなると思います。
 
 
又、作業のイメージをした時に、大変だな~と思う場合は、そこだけ職人に頼む事も良いと思います。
 
 
職人は道具を持っている、早く綺麗に仕上がります。
賢く使い分けて、庭木の剪定を楽しんでもらえれば幸いです。



 
 


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